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最高の贈り物

 いずれ子どもたちは、親元を巣立ち自立していくでしょう。そして、今度は親として子育てをしていくことになるでしょう。それまで親は、子どものために「自分」を犠牲にして、親の役割を果たしていきます。

 子どもが巣立った後に、親にはいったい何が残るのでしょうか。私は、次の五つが残ると考えます。
 

① 親子でのたくさんのふれあいの思い出(きっと宝物のような思い出でしょう)、親が大切にしている価値観、生き方をわが子に受けつがせることができます。

 

② 親から本当に愛され、大切にされたという、自尊心がわが子に育まれることになります(自分は愛され大切にされるに値する価値ある人間だという深いところからくる自尊心が育まれるわけです)。

③ 親として、わが子を精一杯大切にして育てる過程での醍醐味、育てきった充実感が残ります。

④ ともに子どもを最優先事項として子育てをしてきた夫婦なら、子育ての醍醐味をともに味わったパートナーとして、お互いに相手を大切な存在と思い、子どもが巣立った後も助け合っていくことができます。

⑤ 親子の間で深い絆が残ります。そして、この絆を土台にして、子どもが大人になって、いつの日にか親が衰えても、しっかりとした交流が続きます。
 

  この五つの贈り物は、積極的に親の役割を果たすと決意した親のみが、手にできるのです。 子育ては間違いなく子どもに多くを残し、同時に多くを親に残します。それは真摯に取り組んだ分だけより多くを残すと言えるでしょう。 言い換えれば、どれだけ多くを子と親に残せるかどうかは、ひとえに「親の役割をどの程度引き受けると決意するかどうか」にかかっています。つまり、「子育てのスタンス」が決定的に重要なのです。

 子育ては楽しい。大変ですが楽しい。愛情ー時間と労力ーをかけるだけのことは、十分すぎるほどありますし、かけただけのことが返ってきます。 わが子の笑顔や日々成長していく姿を見るのは、何よりの楽しみです。私自身、父親としての醍醐味を味わっている真っ最中です。

 

 親としての究極の願いは、わが子が幸せになること。そして、そのために精一杯子育てをすること自体に価値があり、やりがいがあり、親としての醍醐味、幸せがあると思います。 (拙著『うちの子、どうしていうこと聞かないの!と思ったら読む本』55-57pp.より引用)

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